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   【3】判例情報(不正競争防止法、著作権法)
平成18年09月27日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10011 不正競争行為差止等請求控訴事件
平成18年09月27日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10019 不正競争行為差止等請求控訴事件 
平成18年09月27日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10028 不正競争行為差止等請求控訴事件 
平成18年09月28日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10009 不正競争行為差止等請求控訴事件
平成18年09月28日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10022 不正競争行為差止等請求控訴事件
平成18年09月28日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10012 不正競争行為差止等請求控訴事件
平成18年09月28日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10021 不正競争行為差止等請求控訴事件
先発薬を販売する会社が、後発薬(ジェネリック医薬品)販売会社に対し、原告商品のPTPシート(注 薬剤包 装のことである。)及びカプセルの外観(配色を含む)において不正競争性(不正競争防止法2条1項1号)を主張 し、差止等を求めた控訴審判決である。上記判決は、いずれも原告(先発薬販売会社)が同じであり、結論としても、 すべて同じとなっている。  本判決は、一審判決と同じく、単純な色彩の組合せ、医療用医薬品において需用者に好ましく受け入れられる色彩 が自ずと限られることなどから、商品等表示を否定し、請求を認めなかった。
平成18年09月26日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10037,10050
著作権侵害差止等請求控訴・同附帯控訴事件
江戸時代に製作された浮世絵を模写した絵画の著作物(二次的著作物性取得)が問題となった事案で、絵画の相続 人が一審原告になった事案の控訴審判決である。  模写作品の二次的著作物性取得については、単にモチーフが違うだけでは足りず、原画に存しない創作的表現が模 写作品に新たに付与されていることが必要であるとして、新たに創作的表現が付与されたと認定された絵画について、 著作権侵害を認めた。   模写についての二次的著作物取得の要件、事実認定方法について、参考となる事案である。
平成18年09月20日 大阪高等裁判所 平成17(ネ)3088 不正競争・損害賠償等請求控訴事件
華道の流派「華道専正池坊」、煎茶道の流派「日本礼道小笠原流」の四代目家元たる一審原告が、五代目家元と称 し、上記流派の名称を使用しているとして一審被告に対し、家元たる地位の確認、不正競争、人格権に基づき流派等 の名称差止等を求めた事案の控訴審判決である。  上記流派の家元の承継方法について、先代の家元が次の家元を実質的に直接選任(指名)し、これを本件流派の内 部手続に従って高弟が形式的に承認するという形であることを認め、一審原告がこの手続に従った四代目家元たる法 律上の地位にあることを認め、更に、事務局を委せられていた一審被告の経理状態を疑い、事務委託の業務委任を解 消したことは、一審原告の四代目家元の辞任の意思表示ではなく、四代目家元辞任、独立を前提とする五代目家元選 出は無効であることを明らかにした。  家元の承継についても、当該流派の内部手続によってなされれば足りるとして、芸道や流派運営・事業活動の実質 的内容にかからせる理由はないとした。  本件事案は、五代目家元と称した一審被告が、事務局を委せられていたこと、その業務委任が解消された後に、四 代目家元辞任、独立を前提に、五代目家元を名乗って活動していた点に特殊性がある事案である。
平成18年09月13日 知的財産高等裁判所 平成17(ネ)10076 著作物利用差止等請求控訴事件
「キャロル」の解散コンサートをドキュメントリー映画化・撮影等をした一審原告が、それを自らが著作権者として、 これを編集等してビデオ、DVD化し販売していた一審被告に対し、差止、損害賠償等を求めた事案で、本件作品の 著作者、著作権者は誰か、著作権の許諾があったのか等が争点になった控訴審判決である。  一審原告の製作の関与、その後の著作物に対する対応等を詳細に認定した上で、著作者は一審原告と認めながらも、 著作権者は、音楽関係の著作権その他すべての権利関係を承継した一審被告として、一審被告が販売した特典DVD に一審原告の氏名が表示されなかったことを捉えて、著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)侵害による慰藉 料100万円のみを認め、著作権者を一審原告として認めた一審判決を変更した。  多数の関係者が関与する映画等の影像についての著作者の認定、その後複雑な経緯を辿った上での著作権者の認定 において、参考となる事案である。
平成18年07月27日 大阪地裁 平成17(ワ)11055 不正競争行為差止請求事件
医療検査、食品検査等の検査用の試験管、簡易保存、分離攪拌するための容器として使用されている「サンプリングチューブ」という プラスチック製のチューブ容器について、円錐状部分の先細先端部分の底面部(ゲート部分)が平底(フラットゲート)である部分が 共通し、寸法、形態がほぼ同一であるものの、フラットゲートでゲートピン跡がない点に「商品等表示」が認められるとして、不正競 争防止法2条1項1号の不正競争に基づく差止を求めた事案である。  本件判決は、商品形態が「商品等表示」に該当するための要件として、商品の形態は、必ずしも商品の出所を表示することを目的とし て選択されるものではないが、@商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており、かつ、A長期間継続的かつ独 占的に特定の営業主体の商品に使用されるか、又は短期間でも協力に宣伝されたような場合などには、商品等表示として需用者の間に広 く認識されることがあり得るというべきであると一般論を述べたうえで、@については、物理的サイズ、認識判別の難易、各社カタログ の扱い方から否定し、Aについては、4年程度の販売年数、多くとも4%前後の市場占有率を認定して、これも否定した。
平成18年07月11日 東京地裁 平成18(ヨ)22044 著作権仮処分命令申立事件
 昭和28年に上映された映画(「ローマの休日」「第十七捕虜収容所」)のDVDの製造頒布行為につき、映画の著作権(複製権及び頒 布権)侵害を理由としてに基づき差止を求めた仮処分事件である。  映画の著作物の保護期間は、公表後50年と規定されていたところ、平成15年法律第85号により、「映画の著作物の著作権は、そ の著作物の公表後七十年・・・を経過するまでの間、存続する。」(54条1項)と改正され、平成16年1月1日から施行され(附則 1条)たが、経過措置として、「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物について適用し、この法 律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については、なお従前の例による。」(附則2条)と規定 され、文化庁が、平成15年12月31日午後12時は、平成16年1月1日午前零時と同じとして、延長を認めていたため、これらの 映画が、施行の際に著作権が消滅しているか否かが争点となった。  本件判決は、著作権54条、57条は、「年によって期間を定めた」(民140条)もので、「時間によって期間を定めた」(民13 9条)ものではなく、年によって期間を定めた場合は、「末日の終了をもって満了する」(民141条)から、公表された翌年の昭和2 9年から起算すれば(著57条)、改正前の著作権法54条1項により、50年目の平成15年経過まで、つまり、平成15年12月3 1日が終了したときまでとし、平成16年1月1日の時点では、既に著作権が消滅しているとして、本仮処分を認めなかったものである。
平成18年05月31日 知的財産高等裁判所 平成17(ネ)10091 請負代金等請求控訴事件
空港案内図の製作委託に関して、他人の出版物を利用することが、著作権を侵害し、それが債務不履行となる等主張した事件にお ける控訴審判決である。  控訴審は、対象となった他人の出版物(同じ空港案内図)についての「一応、著作物」「限定的な(創作性)」という原審の判示 が、創作性を肯定し得るもののその程度が低いものは、創作性が高いものに比べて、著作権法上の保護の範囲も自ずと限界があると いうことを意味すると判示し、原審と同様に著作権侵害とならないと判断した。
平成18年05月11日 知的財産高等裁判所 平成18(ネ)10006 著作権侵害差止等請求控訴事件
相続人から著作物の信託を受けたGLA総合本部が、著作権を侵害したとして、差止等を求めた事件の控訴審判決である。  控訴人は、高橋信次の著作物は、宇宙界より降ろされた法であり、信仰者に伝えられるべく残されたものであるから、親族が著作 権を主張すべきではない。実の著作権者は宇宙界にあり、多くの人々に伝えてこそ法である旨等主張したが、著作権が相続及び信託 の対象となることを理由に控訴人の主張を排斥し、侵害を認容した。
平成18年04月26日 大阪高等裁判所 平成17(ネ)2410 著作権侵害差止等請求控訴事件
「初動負荷理論」と称するトレーニング理論を開発したスポーツトレーナーらが、記事について、著作物の翻案権侵害等を主張した 事件の控訴審判決である。  控訴審は、言語の著作物の翻案の定義(@依拠性、A表現上の本質的な特徴の同一性維持、B修正、増減、変更等により新たに思 想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別 の著作物を創作する行為)、表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、同一性を有するに過ぎない場合は、 翻案にあたらないとした最高裁判例(平成13年6月28日・民集55巻4号837頁)を示し、特に、抽象的な理論体系、思想内 容については、表現それ自体でなく、同一性があっても、翻案とならない旨を判示し、原審と同様に請求を認めなかった。
平成18年04月19日 大阪高等裁判所 平成17(ネ)2866 不正競争行為差止等請求控訴事件
「ヌーブラ」の日本国内の独占的販売権者が、同じブラジャーを輸入販売する業者に対し、周知商品表示(不正競争防止法2条1 項1号)、著名表示(同2号)、形態模倣(同3号)を主張し、差止等を求めた事件の控訴審判決である。 控訴審は、原審と同じく、請求を認めなかったが、周知性については、多数の類似品や並行輸入品が出回ったことにより、商品形 態のみで出所を識別するだけの周知性を獲得するには至らなかったと判示して、排斥し、著名表示性についても、同様の理由で、排 斥している。  形態模倣については、「同種の商品が通常有する形態」かどうかは、実際に商品化された商品について問題にすべきで特許公報の 図面に記載されているだけでは足りないとして、これを認めず、「模倣」かどうかは、商品の基本的形態のみならず具体的形態にお いても実質的に同一であることが必要であるとして、女性消費者が購入する際に着目する重要なポイントであるカップの質感や艶が 微細な差異とはいえないとして、「模倣」を認めなかった。
平成18年04月12日 知的財産高等裁判所 平成17(ネ)10051 損害賠償等請求控訴事件
プログラマーがソニーに対して著作権侵害を理由に損害賠償等を求め、ソニーが著作権法15条2項に定める職務著作に該当し、 仮に職務著作に該当しなくても、プログラム開発委託契約の成立と同時に開発によって生じたプログラムの著作権を譲渡する契約が 成立したと反論した事案について判断した事件の控訴審判決である。  結論的には、全ての開発委託契約と著作権譲渡契約の有効性を認めたものであるが、契約書が存在しないものについても、経緯等 から、開発委託契約の成立時に著作権の帰属についても合意があったと認め、原審の結論を維持した点が注目される。
H18. 3.29 知財高裁 平成17(ネ)10094ほか 請負代金請求控訴事件[著作権]
商品の広告販売のために撮影された写真につき、著作物性が問題となった事案の控訴審判決である。 知財高裁は、写真については、著作物性が肯定される場合でも、創作性の程度に高度なものから微 小なものまで大きな差異があり、創作性の程度が「微小な場合」には、当該写真をそのままコピー して利用した場合に限定して複製権侵害となる旨判示した。一般的に写真には著作物性があること を認め、創作性の程度が「微小な場合」でも、写真そのままのコピーは、著作権侵害となることを 明確に示した点に意義がある。
H18. 3.15 知財高裁 平成17(ネ)10095ほか 著作権損害賠償等請求事件
 一般人向けの法律問題の解説書を執筆した弁護士が、これと類似した文献を発行した会社に対し、 著作権法に基づき差止、損害賠償を求め、原審で一部認容判決を得た事案の控訴審判決である。 知財高裁は、解説書の一部について、依拠性を認めながらも、表現の共通部分は、「法令の内容や 判例・学説、実務の運用から導かれる当然の事項を普通に用いられる言葉で表現したものにすぎず 、創作的な表現ではない」として、著作物性を認めなかったが、記述自体の類似性や構成・項目立 てから受ける全体的印象に照らして、他人の執筆の成果物を不正に利用して利益を得たと評価され 、公正な競争として社会的に許容される限度を超えるものとして一般の不法行為を認めた。
H18. 2.28 知財高裁 平成17(ネ)10110 損害賠償等請求控訴事件
 強盗殺人、放火事件の被告人として死刑判決を言い渡された控訴人が、自らの著作、手紙、写真を使用してテレビ 番組等を作成したとして、著作権等に基づき、損害賠償等を請求した事件の控訴審判決である。
 本判決は、冤罪を主張するテレビ番組の取材に協力していた等から黙示の許諾があったとされ、原審と同様に、控 訴人の請求を棄却した。
H18. 2.27 知財高裁 平成17(ネ)10100等 著作者人格権確認等請求控訴事件
 彫刻家である控訴人が「ジョン万次郎」像等を製作したにも関わらず、彫像台座に自己の名称が表示されていなか ったため、@氏名表示権を有することの確認、A像の所有者等に対して制作者が控訴人であり、表示を改めるように 通知すること、B謝罪広告を求めた事件の控訴審判決である。
 本判決は、著作権法14条「著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しく は名称(以下「実名」という。)又はその雅号,筆名,略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」とい う。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。」 の「推定」をいわゆる事実上の推定と解釈し、本件においては推定事実が覆ったと事実認定の上、控訴人を当該像等 の単独著作権者と認定して、原審を維持し、控訴人の請求の@、Aの一部を認めた。
H18. 2.27 知財高裁 平成17(ネ)10007 不正競争商品供給契約上の地位確認等請求控訴事件
 医薬品等の小売業者である被控訴人が、その製造販売業者である控訴人の商品につき平成13年1月から5月にか けていわゆる「原価セール」(商品の仕入価格を開示して行うセール)を行ったことを理由に,それまで継続してき た取引基本契約等が解除ないし解約されたことに伴う争いで、「原価セール」が不正競争防止法又は独占禁止法・景 品表示法に違反するか等が主たる争点となった事件の控訴審判決で、「仕入価格」の開示行為について、不正競争防 止法の判断をした判例である。
 本判決は、営業秘密に関する不正競争防止法2条1項7号に関して、「@ その情報が営業秘密に当たること、A 営業秘密の保有者からその営業秘密を示されたこと、B 不正の競業その他の不正の利益を得る目的又はその保有者 に損害を加える目的があることを要する。」と要件を示した上で、控訴人商品の仕入価格(控訴人にとっての卸価格) は、合意によって定まるもので、仕入価格を折衝する余地はない等の主張を排し、「示された」(A)に該当しない。 また、Bの要件も充足しないとして、原判決と同様に請求を認めなかった。
H18. 1.31 知財高裁 平成17(ネ)10113 著作権損害賠償等請求控訴事件
 ローズ・オニールの著作に係るキューピーについての著作権の被控訴人に対する譲渡は、不正な方法により行われ たものであるから、無効であるなどと控訴人が主張した事件における控訴審判決である。
 本判決は、「控訴人による上記著作権の取得は、上記著作権を業として利用しようとするものではなく、上記判決 で指摘された被控訴人代表者の利益を損害金名目で取得しようとの意図に基づくものと推認されてもやむを得ないと いうべきであり、控訴人の本訴請求は著作権法の趣旨に反し権利の濫用として許されないものといわざるを得ない。」 として、著作権法に関する権利濫用を明確に認めて、原審の結論を維持した。
H18. 1.25 知財高裁 平成17(ネ)10060等 不正競争損害賠償等請求控訴事件、損害賠償等請求附帯控訴事件
 @控訴人の取引先に対し被控訴人取締役が控訴人の商品は被控訴人商品と酷似するので、訴えると告知した行為が、
不正競争防止法2条1項14号所定の虚偽の事実を告知し、又は流布する行為に該当するか、A控訴人商品である「 女性ドール用素体」の形態が不正競争防止法2条1項1号にいう商品等表示に該たるかが争点となった事件の控訴審 判決である。
 本判決は、@については、「被控訴人商品が自らの商品と類似するなどと主張して、控訴人の権利を侵害する商品 を販売しているとの告知をすれば、当該告知を受けた第三者はその主張する事実が真実であると誤解するものという べき」と判断し、取引先に対する告知は慎重を要する旨を論じ、Aについては、「商品の形状は女性の人体に限定さ れるとともに、機能面においては女性の人体にできるだけ近い自然な姿勢や動作を取り得る構造が求められ、商品と して選択し得る形態には自ずと制約がある。」とし、商品としての性質から選択し得る形態についての制約を認めて、 @を肯定、Aを否定して、原審の結論を維持した。
H17.12.27 知財高裁 平成17(ラ)10006 不正競争仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
 日本法人間の争いで、製品共同開発契約が合意解除(約)された後,抗告人が共同開発された製品を中国内で販売していたことに対し、相手方が、不正競争防止法2条1項14号に該当するとして,同法3条に基づき,民事保全法に基づく仮処分として販売妨害行為の差止めを求めた事案である。
 原決定は、不正競争行為の差止請求の準拠法は法例11条1項によって決するべきであり,同条項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は中国であるから,中国の法律が準拠法となるところ,抗告人は中国の法律について何ら疎明しないから被保全権利について疎明がないとして仮処分申請を却下したところ、本抗告審は、本件差止請求の準拠法は、法例等に直接の定めがなく(原決定の法例11条の適用を排除する。)、条理により日本法が準拠法になるとし、更に、不正競争防止法2条1項14号の該当性について判断を進めた。結論的には、「虚偽の事実の告知」の疎明がないとして判断して原決定を是認したものである。
H17.12. 5 知財高裁 平成17(ネ)10083 不正競争損害賠償請求控訴事件
 衣料品の製造,販売等業者が、同業者に対して、商品形態の模倣を主張し、不正競争防止法2条1項3号(平成17年法律第75号による改正前のもの。)の適用を求め、損害賠償を求めた事案である。
 主として「通常有する形態」か否かが争われたが、本判決は、【商品の形態とは,商品全体の形態であり,また,必ずしも独創的な形態である必要はない。そうすると,商品の形態が同号の規定にいう「同種の商品が通常有する形態」に該当するかどうかは,商品を全体として観察して判断すべきであって,被控訴人の主張するように,全体としての形態を構成する個々の部分的形状を取り出して個別にそれがありふれたものかどうかを判断した上で,各形状を組み合わせることが容易かどうかを問題にするというような手法により判断すべきものではない。】として、その判断基準を示し、結論的に原判決を取消し、控訴人の請求を(一部)認めたものである。
 全体の形態について「通常有する形態」を判断すれば足りるとしたことで、個別の形状に関する争いに踏み込み議論することを退けた点で、判断が容易になる基準を提示したとみることができる。
H17.11.21 知財高裁 平成17(ネ)10102 著作権に基づく損害賠償等請求控訴事件
  「鉄石と千草 京城三坂小学校記念文集」という編集著作物又は共同著作物の著作権者が、当該文集を引用し岩波書店が発行する著作に ついて、著作者人格権(同一性保持権)侵害等を理由に差止、損害賠償、謝罪広告を求めた事案である。  著作権法に関する判断として、編集著作物は、素材の選択又は配列に創作性を有することを理由に、著作物として著作権法上の保護の 対象とされるものであるから、編集者の思想・目的も素材の選択・配列に表れた限りにおいて保護されるものというべきで、編集著作物 を構成する素材たる個別の著作物が利用されたにとどまる場合には、いまだ素材の選択・配列に表れた編集者の思想・目的が害されたと はいえないから、編集著作物の著作者が著作者人格権に基づいて当該利用行為を差し止めることはできないと判示して、控訴を棄却した。  また、創作性がなくとも勝手な改変・要約や元の著作物全体の趣旨・目的に明らかに反する趣旨での引用は許されないとの主張に対し て、著作物中のアイデア、事実など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性のない部分を利用する行為に対しては、著作権法上の権 利は及ばないものと解すべきであるとして、単に事実の指摘に過ぎず創作性もないと判断された引用部分について、著作権法に基づく請 求を認めなかった。
H17.11.15 知財高裁 平成17(ラ)10007 著作隣接権侵害差止仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件
  「放送事業者が、「録画ネット」という名称の利用者ごとに1台ずつ割り当てたテレビチューナー付きのパソコン(テレビパソコン)を、 事務所内にまとめて設置し、テレビアンテナを接続するなどしてテレビ放送を受信可能な状態にするとともに、各利用者がインターネッ トを通じてテレビパソコンを操作してテレビ放送を録画予約し、録画されたファイルを海外の自宅等のパソコンに転送できる環境を提供 することにより、海外においても日本国内の放送番組を視聴することができるというサービスを営む抗告人に対し、同サービスは放送を 複製し著作隣接権を侵害するものである旨主張して、放送の複製の差止めを求める仮処分を申し立てたところ、これを認容する仮処分決 定がされ、処分取消を求める仮処分異議も同決定を認可したためにされた抗告事件である。  本抗告審は、テレビパソコンの所有権が利用者に移転しているということはできず、所有権の移転が仮装されているにすぎないという べきであるとして、抗告人の主張を排し、放送の複製を認め、放送に係る音又は影像について有する著作隣接権としての複製権(著作権 法98条)を侵害するものとして、被保全権利・保全の必要性共に認定し、抗告を棄却した。
H17.11.10 知財高裁 平成17(ネ)10088 不正競争損害賠償等請求控訴事件
  ノースリーブのワンピース、ブラウス、パレオについて、不正競争防止法2条1項3号に該当する不正競争を行ったとして、譲渡等の 差止め及び廃棄、損害賠償並びに謝罪広告の各請求をした事案である。  原判決は、不正競争防止法2条1項3号の「商品の形態」とは、物の外観の態様であり、外観の態様に影響しない機能を含むものでは ないと判断し、原告商品2の袖が取り外し可能な形態となっていることや、原告商品3のパレオが取り外し可能な形態となっていること はいずれも同号における「商品の形態」に含まれないとして、模倣を認めず請求を棄却したが、本判決も同じ解釈を示し、控訴を棄却し た。
H17.10.27 知財高裁 平成17(ネ)10013 不当利得返還請求控訴事件
  テレビ映画「超時空要塞マクロス」の著作物を有する控訴人が、映画の題名(タイトル)に「マクロス」を含む映画が 製作販売されたことについて、不正競争防止法2条1項1号、2号所定の不正競争行為に該当すると主張し、主位的に民 法703条の不当利得返還請求として、予備的に不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求を求めた事案における控訴審 判決である。  原審は、マクロスの表示は控訴人の商品等表示にあたらない、被控訴人の行為が、商品等表示の使用にあたらないとし て、棄却したが、本判決も同じ結論に至り、控訴を棄却したものである。  
H17.10. 6 知財高裁 平成17(ネ)10049 著作権侵害差止等請求控訴事件
  読売新聞が、自社の記事見出しをホームページに使われたことが、著作権侵害(見出しの複製権侵害、公衆送信権侵害、 記事の複製権侵害)、不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為、不法行為にあたるとして、差止・損害賠償を求めた 事案における控訴審判決である。  本判決は、無断、営利の目的、反復継続、情報の鮮度が高い時期に依拠して,特段の労力を要することもなくこれらを デッドコピーないし実質的にデッドコピーしてLTリンク見出しを作成した行為について不法行為性を認めたが、損害賠 償のみを認め、差止請求を認めなかった。  反面、本判決は、見出し一般に著作物性は認めず、個別的にも創作性を有することを基礎づけることの立証がないとし て著作権侵害を認めず、平成17年6月22日成立の改正不正競争防止法での定義が改正前にも当てはまるとして、不正 競争防止法2条1項3号の「模倣」の適用も認めなかった。  
H17. 9.15 知財高裁 平成17(ネ)10022 不正競争行為差止等請求控訴事件
  包装した饅頭又はせんべいの販売行為について、不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為、著作権(複製物の譲渡権) を侵害する等と主張して,商品の販売等の差止め等と損害賠償を求めた事案の控訴審判決である。  原判決は、控訴人の上記主張について、被控訴人の商品等表示でないとして、そもそもその商品主体性を否定し、周知な 商品等表示でもなく、著作物と認めることもできない等として、控訴人の請求をいずれも棄却したが、本控訴審判決も、同 様の理由を述べて、原判決を維持した。なお、控訴人は控訴審において、継続的取引契約の債務不履行に基づく損害賠償金 の支払の予備的請求を追加したが、これも認められなかった。  
H17. 8.10 知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争行為差止等請求控訴事件
  自動車用コーティング剤の広告及び取引書類における「新車購入時の施工により、自動車の塗装面にテフロン被膜が形成され、その後5年間、新車時の塗装の輝きが維持されるものである」旨の表示について、被控訴人(一審原告)が、@被告商品の施工により、テフロン被膜が形成されることはない、A新車時の塗装の輝きが5年間持続することはあり得ないとして、本件各表示は、被告商品の品質及び内容を誤認させる表示であるとして、不正競争防止法2条1項13号所定の不正競争行為により、表示の差止等を求めた事件の控訴審判決である。  原判決は、被控訴人の請求を一部認容したが、本控訴審判決は、いずれも品質及び内容を誤認させる表示でないとして、原判決の認容部分を取り消し、不正競争行為を否定した。  
H17. 8.30 知財高裁 平成17(ネ)10009等 著作権使用料請求控訴事件
  著作権等管理団体である原告日脚連、同シナリオ作家協会、同音楽著作権協会、同芸団協及び参加人文芸家協会が、有線放送事業者であるケーブルテレビ会社に対し、同時再送信における著作物使用に対する使用許諾契約(テレビ・ラジオ)に基づき、契約に定められた平成7年度から11年度までの使用料又は補償金と遅延損害金の支払を求めた事案である。  著作権等管理団体が、同時再送信を行う有線放送事業者に対し、著作権又は著作隣接権を行使できるか、既に締結されていた前記使用許諾契約が錯誤による無効又は詐欺により取消し得べきものか等が主たる争点となった。 原判決は,著作権法92条2項1号の解釈について、有線放送の方法によりなされる実演の放送に実演家の権利は及ばないとして、本件各契約のうち原告芸団協に関する部分は錯誤により無効であるとしたが、本控訴審判決は、著作権等管理団体は著作権を行使でき、錯誤・詐欺はないとし、著作権法92条2項の「放送される実演を有線放送する場合」に実演家の有線放送権は及ばないとした規定の趣旨は、実演家ないし実演家の団体である原告芸団協が、契約に基づき、放送の同時再送信についてその利用の対価として「補償金」を受けることを禁止する趣旨であると解することはできないとして、契約自体の有効性も認め、原判決を変更した。  
H17. 8.30 知財高裁 平成17(ネ)10012 著作権使用差止等,著作権使用料請求控訴事件
  社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が、著作物利用許諾契約を締結していないケーブルテレビ会社に対し、CS放送の同時再送信等に管理著作物を使用していると主張して、音楽著作物を有線放送に使用することの差止め、使用料相当の損害金又は不当利得金の支払を、また著作物使用許諾契約を締結しているケーブルテレビ会社に対し、同契約に基づき、CS放送の同時再送信等に関し、管理著作物の使用料の支払を求めた事案である。  原判決は、ケーブルテレビによる管理著作物の使用は、外4団体JASRACらとの間に締結された5団体契約による許諾の対象とされて いたとして、JASRACの請求を認めなかった。最も大きな争点は、CS放送の同時再送信を行うことが5団体契約により解決済みであるか どうかであった。  本控訴審判決は、上記5団体契約に「CS放送の同時再送信」は許諾対象外と事実認定し、原判決を変更した。
H17. 7.20 知財高裁 平成17(ネ)10068 不正競争行為差止等請求控訴事件
  コンクリートマンホールに付随するコンクリート構造物の足場であるステップの形態が類似するとして、不正競争防止法2条1項1号を根拠に差止損害賠償を求めた事案の控訴審判決である。控訴審は、控訴理由書における原告商品の構成(周知商品形態)変更の主張を民訴法157条1項により却下し、変更前のもののみを判断したが、原審と同じく、原告商品の形態、控訴人の商品等表示として需要者の間で周知であったということはできないとして、控訴を棄却した。  
H17. 7.28 知財高裁 平成16(ネ)3893 著作権違約金等本訴請求、不当利得返還反訴請求控訴事件
  菓子類のおまけとなる各種のフィギュアの模型原型製造メーカーが、菓子販売業者に対し、著作権使用許諾契約に基づき、未払の許諾料(ロイヤルティ)や商品の製造数量について過少報告したことによる違約金を求めた事案である。  本判決は、応用美術の著作権保護に関して、応用美術一般に著作権法による保護が及ぶものとまで解することはできないが、応用美術であっても、実用性や機能性とは別に、独立して美的鑑賞の対象となるだけの美術性を有するに至っているため、一定の美的感覚を備えた一般人を基準に、純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価される場合は、「美術の著作物」として、著作権法による保護の対象となる場合があるものと解するのが相当として、応用美術が「美術の著作物」と認められるための基準を示した。  本判決は、その上で、本件各模型原型が「応用美術」の範囲となることを認め、更に、個別に「美術の著作物」に該当するか否かについて検討を加え、著作物性を認めた模型原型と認めなかった模型原型とがあるが、その理由を詳細に判示している。  結論的には、金員の支払を認めた原審の結論を維持し、控訴を棄却した判決である。
H17. 6.30 知財高裁 平成17(ネ)10061 不正競争防止法に基づく差止請求控訴事件
  ベッドマットにおける「スーパーフレックス」の名称が、不正競争防止法2条1項1号に該当する「商品等表示」として、差止を求めた 事案の控訴審判決である。  本判決は、「スーパーフレックス」に周知性を認めず、また、被控訴人(一審被告)が「スーパーフレックス」の名称を使用していな い旨を事実認定し、原審の判断を維持して、控訴を棄却した。
H17. 6.21 大阪高裁 平成16(ネ)3846 損害賠償請求控訴事件
  「ユニワイヤ」「UNI−WIRE」(原告表示)との商品等表示を用いて省配線システムを構成する商品の販売行為が問題となった 事案で、周知表示(不正競争防止法2条1項1号)を根拠に「エニイワイヤ」「AnyWire」(被告表示)の差止等を求めた控訴 審判決である。  本判決は、原告表示の「全国の省配線システムの需要者の間」での周知性を認めながらも、識別力を有するのは、主として、原告表 示の「ユニ」「UNI」と被告表示の「エニイ」「Any」の部分であるとして「全体的な外観,称呼」から、また、省配線システム の維持,管理に高い関心を有し,省配線システム関連製品の出所について高度の注意を払うのが通常であるとして「需用者」の性格を 詳細に認定した上で、「類似性」を否定し、原審の判断を維持して、控訴を棄却した。
H17. 6.21 大阪高裁 平成15(ネ)1823 商標権侵害差止請求控訴事件
  化粧品に付された標章が、周知又は著名(不正競争防止法2条1項1号又は2号該当)として差止を求めた事案の控訴審判決である。  本判決は、同一の商品等表示を使用していた複数の事業者(企業)からなるグループが分裂した場合において、その中の特定の事業 者が当該商品等表示の独占的な表示主体であるといえるための要件として、「@需要者に対する関係(対外的関係)及びグループ内部に おける関係(対内的関係)において、当該商品等表示の周知性、著名性の獲得がほとんどその特定の事業者の行為に基づいており、当 該商品等表示に対する信用がその特定の事業者に集中して帰属していること、Aそれ故、グループの構成員である他の事業者において、 その特定の事業者から使用許諾を得た上で当該商品等表示を使用しなければ、当該商品等表示によって培われた特定の事業者に対する 信用にただ乗りすることとなる関係にあることを要するものと解される。」という解釈を示し、本件においては、グループ内の複数の 事業者がいずれも表示主体であるとして、控訴人の独占的な表示主体性を否定し、控訴を棄却した。
H17. 6.14 知財高裁 平成17(ネ)10023 著作権番組公衆送信差止等請求控訴事件
  NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」放映に対し、映画「七人の侍」の著作権者が、著作権(翻案権)及び著作者人格権(氏名表 示権と同一性保持権)に基づき損害賠償請求、差止を求めた事案の控訴審判決である。  本判決は、「類似点ないし共通点は結局はアイデアの段階の類似点ないし共通点にすぎないものであり、前記映画又はその脚本の表現 上の本質的特徴を前記番組又はその脚本から感得することはできないというべき」などとして、原審の判断を維持し、控訴を棄却した。
H17. 5.26 知財高裁 平成17(ネ)10055 著作権損害賠償等請求控訴事件
  ソフトウェアの画面表示が、同一又はその表現上の特徴を感得できるものであるとして、著作権に基づく差止等を求めた事件の控訴審 判決である。
 控訴審判決は、画面表示自体の著作物性獲得可能性を否定しなかったが、当該各画面表示は、当該ソフトウェアの機能ないし操作手順 を普通に表現したものにすぎないなどの理由から、創作的な表現であることを認めず、原審と同様に著作物性を否定し、控訴を棄却した。
H17. 5.25 知財高裁 平成17(ネ)10038 著作権侵害差止等請求
  京都大学が学位論文に基づき工学博士の学位を授与したことについて、当該学位論文が著作物たる論文を盗用して執筆されたもので あることを理由として、著作権法112条に基づき、学位の取消し、学位論文の廃棄及び閲覧等の防止措置等を求めた事件の控訴審判 決である。
 控訴審は、実験結果等のデータ自体、また、そのデータを一般的な手法に基づき表現したのみのグラフについても、「著作物」性を 認めず、原審と同様に著作権侵害が成立しないとして、控訴を棄却した。  
H17. 4.28 大阪高裁 平成16(ネ)2208 不正競争行為差止等請求控訴事件
  ろうそくの製造・販売業者が、燃焼時に発生するすすの量が90%減少している、火を消したときに生じるにおいが50%減少しているなどという表示について、不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認表示)及び同項14号(営業誹謗行為)に該当するとして、@差止、A廃棄、B損害賠償、C謝罪広告掲載を求めた事件の控訴審判決である。  原判決は、14号の不正競争行為を認めなかったものの、13号に該当するとして、@ABを認容した。 本控訴審判決は、損害額を300万円から713万1259円に増額変更した以外原判決同様の判断をしたが、営業損害額算定について、不正競争防止法6条の3を適用し、「特に、被告の品質等誤認表示の態様、原告の商品の占有率」という事由を考慮して、相当な損害額を認定した。
H17. 4.28 大阪高裁 平成16(ネ)3684 損害賠償等請求控訴事件
  大学の研修員(控訴人)が、同大学の教授(被控訴人)外3名がその名義で発表した論文は、控訴人の著作物である論文 の複製ないし翻案として、著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)侵害を主張した事案である。  原判決は、発表された論文は著作物である論文の複製ないし翻案に当たらず、著作者人格権侵害も否定したが、控訴審判 決も同様の判断をし、控訴を棄却した。科学論文の特性を踏まえて「表現上の創作性」を狭く解釈した事案と受け止められる。  
H17. 2.24 東京高裁 平成16(ネ)5334 不正競争行為差止等請求控訴事件
  ペットサロン経営者が、退職後にペットサロンを開店した元従業員に対し、「顧客名簿」及び「情報カード」に記載された各顧客 情報を営業活動に使用したことについて、不正競争防止法2条1項4号又は7号の不正競争(営業秘密の不正取得及びその使用)等を主張 した事案である。  原判決は,当該顧客情報の営業秘密該当性を否定して、請求を棄却したが、控訴審たる本判決も、アクセスできる者が制限されておら ず、日常業務において新たに採用された従業員にも利用されていたことなどを認定した上、「いずれも秘密として管理されていたもので あるとは認めることができず、不正競争防止法2条4項所定の営業秘密に該当するということはできない。」と判示して、請求を棄却した。
H17. 2.17 東京高裁 平成16(ネ)806等 損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件
  作詞作曲者から著作権等の信託譲渡を受けた会社が、当該音楽著作物の利用許諾をさせた社団法人日本音楽著作権協会に対し、著作権法 27条(編曲権)又は28条(二次的著作物に関する権利)に違反するものと主張して,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を請求し た事案である。  原判決は、原著作者の権利を侵害する曲について使用料分配保留措置をとりつつ利用許諾を続けた行為について、別件訴訟が提起され た後であることとなどを理由として、協会に過失があるとして損害賠償を認めたが、本判決は、「著作権侵害の紛争には,事案ごとに種 々の事情があることが想定されるので,協会としては,事案に応じて,合理的に判断して適切な措置を選択することが求められているも のと解される。」とした上で、「利用許諾中止」措置を取らず、「使用料分配保留」措置を取ったことについて、「より穏当で、かつ、 合理的な措置であるということができる。」と述べて、損害賠償請求を棄却した。
H16. 9.29 東京高裁 平成14(ネ)1413 不正競争防止法に基づく損害賠償等請求控訴事件
  「定価」を併記して比較し「原価セール」と題して、仕入価格で商品を消費者に販売したことについて、 不正競争防止法2条1項7号(営業秘密)違反、独禁法違反、景品表示法違反等、取引基本契約違反に よる不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償等を求めた事件の控訴審判決である。 本判決は、営業秘密を保有者から「示された」ものではなく、これを一般消費者に開示しても,不正競 争防止法2条1項7号が対象とする行為には該当しない、独占禁止法、景品表示法にも違反しない等と 述べて、不法行為及び債務不履行に基づく損害賠償請求を否定した原審判決を維持した。
H16.12.21 東京高裁 平成16(ネ)745 不正競争行為差止等請求控訴事件
  1950年代以前に米国で人気を博したオートバイのメーカーに由来する「Indian」又は「Indian Motocycle」などの被告各標章 の使用を巡る紛争について、原判決が、不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たるものと認め、差止めと損害賠償を命じた のに対して、これを取り消した控訴審判決である。  本判決は、控訴人も被控訴人もオリジナル・インディアン社とは無関係の法人であり、この点に関して両社は同等であって、オリジナ ル・インディアン社が存続時に使用していた米国インディアンブランド又はそれを原型・起源とする商標を被服等の商標として採択使用 することについて、どちらか一方が正当な使用者で、他方が不正な使用者であるとか、一方が他方を冒用したとかといった関係にたつも のではないとする控訴人の主張を認め、「結局、被控訴人とそのライセンシーは、もともとオリジナル・インディアン社からその米国イ ンディアンブランドを使用する権利のライセンスを受けていないにもかかわらず、そのような宣伝広告をしていたものであるから、その ライセンス事業における信用の形成は、オリジナル・インディアン社の商品等表示である米国インディアンブランドによるものであって、 被控訴人が、不正競争防止法における周知商品主体としての保護を受け得ることになるということはできない。」と判示して、被控訴人 が「周知性」獲得の主体とならないと判断した。
H16.12.16 東京高裁 平成16(ネ)2393 名称使用差止等請求控訴事件
 宗教法人「天理教」の被包括関係を解消した宗教法人「天理教豊文教会」が名称を使用する行為について、不正競争防止法2条1項2号及び1号所定の不正競争行為に当たると判断した原判決を取り消した控訴審判決である。  本判決は、同法1条の「事業」又は同法2条1項1号、2号、同法3条にいう「営業」に非営利事業が含まれるとしながらも、 「宗教活動は,これと対価関係に立つ給付を信者等から受け,それらを収入源とする経済収支上の計算に基づいて行われる活動ではない。」 「市場経済の下における顧客獲得上の競争ないしこれに類する競争ではなく、不正競争防止法が公正の理念に基づいて規制しようとする競争には当たらないというほかない」 として、宗教法人の宗教活動は、「事業」又は「営業」には該当しないとして、不正競争防止法の適用を否定した。
H16.12. 9 東京高裁 平成16(ネ)3656 著作権侵害差止等請求控訴事件
「XO醤男と杏仁女」という小説のモデルとなった者の相続人が、執筆者、出版社に対し、著作権(翻訳権)、著作者人格権、名誉毀損を主張した事案である。  原判決は、著作権侵害、著作者人格権侵害及び名誉毀損の成立を認め、被告小説の印刷及び頒布の差止、損害賠償の一部を認め,謝罪広告について棄却したが、本判決は、  著作権法32条1項の「引用」を否定し、著作権法20条2項4号が定める「やむを得ないと認められる改変」とはいえないと判示して、原判決を維持し、控訴を棄却した。
H16.11.29 東京高裁 平成16(ネ)3178等 不正競争損害賠償請求控訴・
同附帯控訴事件
「〈ご注意下さい!〉最近,ある建築士講習機関の講座システムが大きな問題になっています」,「全国で大勢の被害者が出ています」 の記載のあるチラシ配布について、一審原告が、「建築士試験受験講座の業界において控訴人と1,2位を争う大手業者」であること などから、「ある建築士講習機関」が、一審原告を指すという事実認定をした上で、チラシを読んだ者に,「ある建築士講習機関」 の提供する講座のシステムに問題があり,それが社会的に大きな問題となっており,全国で大勢の被害者を発生させているという印象を 与えるとして、このチラシの配布行為を、「営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する」行為と判断し、不正競争防止法2 条1項14号に該当性を認め、損害賠償金130万円を認めた事例である。
H16.11.29 東京高裁 平成15(ネ)1464 損害賠償等請求控訴事件
創価学会が日蓮正宗ほか2名に対して提起した訴訟であるが、@肖像写真が複製か否かを判断する基準について、「人物を表現した部 分に重きを置いて,著作物である写真の創作的特徴が複製を主張される写真に再現されているかどうかを検討することが許されると いうべきである。」として、「カラーが白黒に」「背景及び被写体である人物の下半身がカット」されていても「複製物」にあたる とし、A引用の該当性については、「ビラの表面に大きく目を引く態様で印刷」、「被写体の上半身部分のみを抜き出」し,(著作 権者の)「創作意図とはむしろ反対の印象を見る者に与えることを意図したことをうかがわせる」もので、「揶揄的な内容の吹き出し を付したもの」は、「公正な慣行に合致し,かつ,政治的に批判する批評の目的上,正当な範囲内で行われた引用」とすることはでき ないとして、引用を否定し、被告の1名に著作権侵害を認め、100万円の損害賠償と差止を認容する一方で、日蓮正宗ほか1名につ いては、共同不法行為、使用者責任などを否定した判例である。
H16.10.19 東京高裁 平成16(ネ)3324 損害賠償請求控訴事件
店舗の入り口にポスターで「ヤマダさんよりお安くします」などと掲載した本件各表示は、商品の小売業者が商品とは無関係に 営業に関してなす表示であり、商品の「品質、内容」に関する表示に当たらないし、「役務」の質に関する表示であるともいえない、本件各表示は控訴人の営業上の信用を毀損するものではない、本件各表示が虚偽の事実を告知するものともいえないとして、不正競争防止法2条1項13号、同項14号に該当するとした控訴人の主張を排斥し、損害賠償を認めなかった原判決を維持した事例。
H16. 9.29 東京高裁 平成14(ネ)1413
不正競争防止法に基づく損害賠償等請求控訴事件
「定価」を併記して比較し「原価セール」と題して、仕入価格で商品を消費者に販売した事案において、不正競争防止法2条1項7号(営業秘密)違反、独禁法違反、景品表示法違反等、取引基本契約違反による不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償等を求めた事件の控訴審判決である。  判決は、営業秘密を保有者から「示された」ものではなく、これを一般消費者に開示しても,不正競争防止法2条1項7号が対象とする行為には該当しない、独占禁止法、景品表示法にも違反しない等述べて、不法行為及び債務不履行に基づく損害賠償請求を否定した原審判決を維持した。
H16. 7.30 大阪高裁 平成15(ネ)3005 不正競争行為差止等請求控訴事件
「トリートメント イオンブラシ」という商品について、不正競争防止法2条1項3号の形態模倣行為に該当するとして、控訴人商品の譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しのための展示、輸出若しくは輸入の差止めと損害賠償を求めた事案で、差止めと損害賠償50万3276円及びこれに対する遅延損害金の支払を認めた原審を維持し、控訴を棄却した。  控訴人商品を譲り受けた時に、取引上当然払うべき通常の注意義務を尽くす必要があったとして一審被告の主張を排斥した。
H16. 6.30 大阪高裁 平成16(ネ)360 損害賠償請求控訴事件
コンピュータ専門学校の学生が、在学中に作成したコンピュータグラフィックス作品を、 無断で複製し、テレビコマーシャル等に使用したと主張して、専門学校に対し、損害賠償を求めた事案。
原判決は、コンピュータグラフィックス作品を複製して使用することにつき同意を与えていたと認定し、 請求を棄却したが、これを維持して控訴を棄却した判例である。
H16. 6.29 東京高裁 平成15(ネ)2515等 出版差止請求控訴,同附帯控訴事件
「ピーターのいす」という童話及び挿し絵の各著作物の著作権者が,これらを掲載した小学校副教材用の国語テストを印刷,出 版,販売した出版社の行為について、複製権,著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)を侵害するものであるとして、その 印刷,出版,販売等の差止及び不法行為に基づく損害賠償を求めた事案。
原判決は,差止請求及び損害賠償請求の一部を認容したが、これを維持して控訴棄却した判例である。
H16. 4.23 大阪高裁 平成14(ネ)3322 動産引渡等請求,損害賠償請求控訴事件
著作権の帰属について、「プログラムの著作物の作製に複数の者が関与している場合において,関与者が共同著作者となるためには,当該プログラムの作製に創作的に寄与していることを要し,補助的に参画しているにすぎない者は共同著作者にはなり得ないというべきである」として、共同著作者となるための要件を判示し、控訴人の請求を全て棄却した事例。
H16. 2.13 最高裁第二小法廷判決 平成13年(受)第866号、867号
製作販売差止等請求事件
競走馬の所有者は,当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対し,いわゆる物のパブリシティ権の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止め及び損害賠償を請求することはできないとしたもので、所有権が、有体物支配権能であり、無体物支配権能ではないことを明確にした判例。

H16. 3.31 東京高裁 平成14(ネ)5718 不正競争行為差止等請求各控訴事件
不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するとされた流通用ハンガーに関する表示について、簡単な構成の標章においても、不正競争が成立しうるとしながら、結論的に否定した判例。

H16. 3.31 東京高裁 平成14(ネ)4763 損害賠償請求控訴事件
ゲームキャラクターのコスチュームについて,裸体を選択できるようにメモリーカード上のパラメータデータを編集できるプログラムをCD-ROMに収録して販売した行為について,同一性保持権の侵害を認めた判例。

H16. 2.27 東京高裁 平成15(ネ)4173 損害賠償等請求控訴事件
不正競争防止法2条1項1号に基づき、「家庭教師派遣業自主規制委員会」を周知表示として、「家庭教師派遣業自主審査実行委員会」の差止を求めた事案で、周知性を否定した判例。

H16. 2.25 東京高裁 平成15(ネ)1241 損害賠償等請求控訴事件
我が国の国際裁判管轄を否定して,訴えを却下した原判決に対し,控訴人がその取消しを求めて控訴したが、原判決を維持した判例。

H16. 3.24 大阪高裁 平成15(ネ)3357 損害賠償等請求控訴事件
標章を付した商品を販売する行為について、主位的に不正競争防止法2条1項1号に 基づく損害賠償及び販売の差止め等を、予備的に不法行為に基づく損害賠償を求めた事案 について、被告らの「本件商品を販売することを原告が承諾した」という抗弁が認められ て、請求を棄却した原判決が維持された判例。

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