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   商標の分類とその改正について
(1)商標の分類について

商標登録出願は、商標の使用をする1又は2以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならないとされており、「商品及び役務の区分」は政令で定めるとされています(商標法6条1項)。
この政令として、商品及び役務の区分を定める商標法施行令が定められており、加盟国に対し国際分類の採用を義務付けている「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づいて、平成4年4月以降、我が国では、商標の分類として、国際分類が採用されています。そして、各区分に属する具体的な商品又は役務を例示する規定として商標法施行規則(省令)が定められており、実務上、その例示する指定商品又は指定役務に基づいて、商標の出願や登録申請などが行われています。

(2)商標の分類と類似の関係について

商標権の効力は、商標権者が指定商品又は指定役務について登録商標を自ら又は他人をして独占的に使用できることにあります(商標法25条)。そして、この効力は、他人の登録や使用を類似範囲において排除するところにまで及びますが(商標法4条1項11号、37条1号)、この類似範囲と商標の分類は、必ずしも一致していません。同じ商標分類に属する指定商品であっても、相互に類似しないこともありますし、違う商標分類に属する指定商品が相互に類似するとされることもあります。例えば、どちらも第25類に属する「洋服」(17A01)と「セーター類」(17A02)が原則として非類似と扱われていますし、逆に第20類に属する「まくら」(17C01)と第24類に属する「毛布」(17C01)は、原則として類似すると扱われています。後者の関係は、審査や商標調査において他の分類のデータを検索しなければならないため、実務上、「他類間類似」と呼ばれています。

(3)類似群コードについて

特許庁の審査では、同一又は類似の商品について同一又は類似の商標の登録ないし先願があると判断されれば拒絶理由が通知されますが、どのような商品と役務が互いに類似すると扱われているかについては、特許庁において、類似商品・役務審査基準が公表されています。類似商品・役務審査基準では、商標分類ごとに、互いに類似すると推定される商品又は役務の一群を枠囲みで例示していますが、その一群の商品又は役務には、同じ整理コードが付けられています。この整理コードは、上記に引用した各指定商品の次に括弧書きで表示しているように、アルファベットの前後に数字2文字を附加したものですが、特許庁の審査において、類似の商品又は役務と判断される範囲を示したもので、「類似群コード」と呼ばれています。特許庁ホームページの商標検索のページには、「商標分類リスト」のデータベースが公開されており、この「類似群コード」をキーワード入力により検索できるようになっています。
なお、類似商品・役務審査基準では、類似群コードが異なる商品又は役務について、枠囲みの欄外の備考において、例えば、「第26類のワッペン(21A02)は、第14類のカフスボタン(21B01)と類似する。」と記載されている場合がありますが、このような関係は、備考類似と呼ばれています。備考類似は、類似群コードが異なり、原則として審査官の職権調査の対象とはならない点で他類間類似とは異なりますが、異議申立あるいは無効審判があれば、審査の対象となる点では同様です。

(4)商品及び役務の分類改正について

これまで我が国では、「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づく国際分類「第7版」に基づき、商品分類として第1類から第34類、役務分類として第35類から第42類の商品及び役務の区分が採用されていましたが、平成13年10月に世界知的所有権機関(WIPO)で開催された専門家委員会で上記国際分類「第7版」が改訂され、同「第8版」が平成14年1月1日から発効することとなりましたので、商品及び役務の区分を定める商標法施行令の別表の一部を改正し(平成13年政令第265号 平成13年8月8日公布)、さらに、この商品及び役務の区分に属する商品又は役務について規定する商標法施行規則別表の一部を改正しました(平成13年経済産業省令第202号 平成13年10月2日公布)。
これらによる分類改正の概要は下記のとおりで、平成14年1月1日から施行されています。

(1)商標分類の増加
旧第42類が 別表 のとおり4つの新分類(第42類〜第45類)に分割されました。

(2)商品又は役務の一部の追加・変更・削除
例えば、商標法施行令の別表において、第9類に含まれる「電気式の機械器具」が「電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用、電気制御用の機械器具」であると明確化されました。
商標法施行規則の別表においては、第9類に属する商品として、「電子計算機用プログラム」(11C01)及び「電子出版物」(26A01/26D01)が追加され、これらには、ダウンロードによるものと記録媒体に格納したもののいずれもが含まれることが明示されました。また、旧第16類の指定商品とされていた「かるた」(24A01)と「トランプ、花札」(24B01)がいずれも、第28類の指定商品に変更されました。

(3)類似商品・役務審査基準の改正
商品と役務の間の備考類似を認めた例として、第9類の「電子出版物」(26A01/26D01)と第41類の「電子出版物の提供」(41C02)、第9類の「電子計算機用プログラム」(11C01)と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」(42X11)の2例が新設されました。
また、第9類の「電子出版物」の類似群コードとして、26A01と26D01が付与され、2つの類似群コードを有する指定商品が初めて認められました。

(H14.1 作成 弁護士・弁理士 溝上 哲也)

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