発行日 :平成19年 1月
発行NO:No18
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【3】論説〜特許権を侵害する旨の取引先への告知が、権利非侵害となった場合に、不正競争防止法2条1項14号に該当するかについて〜
1.はじめに
 不正競争防止法は、2条1項14号において「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」を不正競争行為と定め、これにより営業上の利益を侵害された者に差止請求権を与え(同法3条)、さらに不正競争行為を行った者に故意又は過失があれば、損害賠償請求もできる旨を規定しています(同法4条)。この14号に基づく損害賠償請求訴訟は、実務上、例えば特許権者がライバル会社の取引先に対し、そのライバル会社の製品は自己の特許権を侵害するから販売を中止するように求める旨の警告書を送付したが、後日、当該特許権を無効とする旨の審決が確定したり、あるいは特許権侵害訴訟においてそのライバル会社の製品は当該特許の発明の技術的範囲には含まれないことが確定した場合に、ライバル会社から、取引先への警告は「営業上の信用を害する虚偽の事実」を告知する行為に該当するとして、その警告によって被った金銭的な損害の賠償等を請求される形で提訴されることがあります。そして、そのような事件の審理において、裁判所は、最初に不正競争防止法2条1項14号の条文上の要件事実の該当性を判断し、外形上該当すると判断される場合は、さらに進んで、違法性阻却事由の有無について判断し、違法性阻却事由が無いと判断される場合であって、かつ、被告に故意又は過失が認められる場合に損害賠償請求を認めるケースが多く見受けられます *1

 本稿では、東京地方裁判所において本年7〜8月に相次いで出された下記2件の判決の概要を紹介した上で、特に、@特許権を侵害するものである旨の告知は「事実」の告知であるか、「意見ないし論評の表明」であるか、A「違法性阻却事由」と「過失」の有無はどのような基準で判断されるか、B特許権者に課される警告前の調査義務、の3点について若干の検討を加えることにします。

2.事件の概要
2−1. 平成18年7月6日 東京地裁 平成17年(ワ)第10073号 「養魚用飼料添加物事件」(以下、第1事件という。)について
(1) 概要
 第1事件は、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル塩を含有する養魚用飼料添加物等に関する3件の特許権 *2 を有していた被告が、原告らの取引先に対し、取引先が扱う製品の中に被告の製品以外の製品が入っており、これは被告が有する特許の技術的範囲に入るものであるなどと記載した複数の文書を送付した行為、及び、被告が原告らの取引先1社に対して仮処分を申し立て、これに関して行った広報活動(被告ウェブサイトへの掲載行為)について、被告が有する特許のうち、3件の特許は無効であることが確定したことから、原告らが、上記の被告の行為は、不正競争防止法2条1項14号の虚偽の事実の告知・流布に該当し、あるいは不法行為を構成すると主張して、同法5条2項及び民法709条に基づき、総額約6億2000万円の損害賠償を求めたという事件です。問題となった取引先への告知の内容は以下のようなものです。

 「・・・弊社が今年6月初旬に九州市場より入手しました貴社飼料製品『みさき2.5 P』を分析しましたところ,貴社飼料製品中に弊社製品『ホスピタンC』とは異なる他社製品のアスコルビン酸−2−リン酸エステル塩が含まれていることが判明しました。弊社は・・・飼料あるいは飼料用添加物,その製造法等に係る特許を下記の通り保有しており,貴社の飼料製品は弊社保有特許の技術的範囲に入るものと思料されます。・・・早急に貴社内で是正いただきたく,また今後かかることが無いようご注意をしていただきますようお願い申し上げます。」

(2) 結論
 裁判所は、原告の請求を一部認容し、信用毀損による損害は原告らそれぞれについて各700万円と認めるのが相当であり、弁護士、弁理士費用としては、合計300万円が相当であるとして、その限度で損害賠償請求を認めました。なお、被告が不正競争行為により得た「利益の額」(不正競争防止法5条2項)については認定することができないとして、原告の請求を棄却しました。

(3) 理由(下線はすべて筆者によるもの)
 裁判所は、先ず、本件文書の送付行為は原告の「営業上の信用」を害するものであり、本件各特許のいずれについても無効審決が確定した以上、本件文書の記載は「虚偽の事実」と認められると判断しました。その上で、「故意又は過失」の有無の判断については、【特許権者による特許権侵害であるとの警告書の送付行為が,特許権が後に無効となり,遡及的に消滅したことにより,競業者の「営業上の信用を害する虚偽の事実」の告知又は流布となった場合には,警告書送付当時に,相応の事実的,法律的調査をすれば,特許権に無効の理由があることが明らかであったかどうかにより,特許権者の過失の有無を判断すべきである。 すなわち,警告書送付時に,既に無効審判が申し立てられ,それによれば,特許が無効となることが容易に予想し得た場合,あるいは,警告書送付時に既に無効審決がなされており,無効審決を取り消し得ると考える合理的な根拠があったとはみられない場合などには,警告書送付行為について過失責任を肯定することが多いと考えられるし逆に,警告書送付時には,無効審判も提起されておらず,後日に判明した無効理由が明らかではなかった場合には,警告書送付についての過失責任は否定されることが多いと思料される。また,無効審判が提起されており,相手方から無効理由を構成する理由(具体的な公知文献や明細書の記載不備等の理由)の指摘を受けていたとしても,最終的な無効の判断が特許庁や裁判所による高度に専門的な判断となるため,特許権者としては,無効となることが容易に予想し得ない場合などには,後に当該特許が無効となったとしても,警告書送付行為についての過失責任は否定されることもあると考えられる。】との判断基準を示しました。そして、特許を無効とする審決がなされたのは平成14年4月8日であるのに対し、問題とされた取引先への告知が、当該無効審決がなされたよりも後の平成14年6月27日から同年8月29日までの間に送付されていることより、被告においては、本件特許を無効とする審決が取り消され、本件特許が無効とはならないと考え得る合理的根拠を有していたことが必要であり、そうでなければ、相応の事実的、法律的根拠をもって、本件文書を送付したということはできないとした上で、本件の事案においては、被告が本件特許を無効と判断した審決に対し、その判断を覆し得る合理的な根拠を有していたとは認められないから、被告は本件文書を送付したことについて、過失責任を負うというべきであると判断し、原告の請求を一部認容しました。

2−2. 平成18年8月8日 東京地裁 平成17年(ワ)第3056号 「合成樹脂製クリップ事件」(以下、第2事件という。)について

(1) 概要
 第2事件は、発明の名称を「合成樹脂製クリップ」とする特許第2956956号の特許権を有していた被告らが、原告の取引先に対し、原告の製品が被告らの特許権及びその専用実施権を侵害している旨の警告書を送付したが、その後、当該特許権の無効が確定したため、上記警告書の送付は虚偽の事実の告知により原告の信用を毀損するものであるとして、原告が、被告らに対し、不正競争防止法2条1項14号及び4条に基づき損害賠償及び民法所定の遅延損害金の支払を求めるとともに、同法7条に基づく信用回復措置の請求として謝罪広告の掲載を求めた事件です。問題となった取引先への告知の内容は以下のようなものです。

 「当方は衣類等を吊持するハンガーに使用する合成樹脂製クリップ(以下単に本件クリップという)に関し,登録第二九五六九五六号の特許権を有しております。・・・一方,貴社がご使用の右ハンガーに設けられた合成樹脂製クリップは,本件クリップの右特徴をそのまま有するものです。よってその使用行為は当方の特許権を侵害するものと思われますので,このまま使用を継続されますと,後日不測のご迷惑を御掛けするおそれがあります。従いましてこれら製品の使用を中止されるよう此処に申し入れ致します。併せて当該ハンガーのメーカー及び現在までの使用数量をご通知下さることを要望しますとともに,本件の対応策を本書到達後,二週間以内に代理人弁理士乙あてにお示し下さるようお願いいたします。・・・」

(2) 結論
 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却しました。

(3) 理由(下線はすべて筆者によるもの)
 裁判所は、先ず、本件特許権については無効審決が確定しているから、本件各クリップは本件特許権を侵害することを要点とし、その当然の前提として本件特許権は無効理由を有しないことを主張していた本件各警告書は、本件特許権は無効理由を有しないとの点において虚偽があったものというべきであると、「虚偽の事実」の要件を満たすものと認定しました。その上で、いわゆる「違法性阻却事由」については、【競業者が特許権侵害を疑わせる製品を製造,販売している場合において,特許権者が競業者の取引先に対し,競業者が製造,販売する当該製品が自己の特許権を侵害する旨を告知する行為は,後日,特許権の無効が審決等により確定し,又は当該製品が侵害ではないことが判決により判断されたときには,競業者との関係で,その取引先に対する虚偽事実の告知に一応該当することとなるものの,この場合においても,特許権者によるその告知行為が,その取引先自身に対する特許権等の正当な権利行使の一環としてされたものであると認められる場合には,違法性が阻却されると解される。】とし、【そして,特許権者が競業者の取引先に対する訴え提起の前提としてなす警告も,特許権者が事実的,法律的根拠を欠くことを知りながら,又は特許権者として,特許権侵害訴訟を提起するために通常必要とされる事実調査及び法律的検討をすれば,事実的,法律的根拠を欠くことを容易に知り得たといえるのに,あえて警告をした場合には,競業者の営業上の信用を害する虚偽事実の告知又は流布として違法となると解すべきであるしかし,そうでない場合には,このような警告行為は特許権者による特許権の正当な権利行使の一環としてされたものというべきであり,正当行為として違法性を阻却されるものと解すべきである。もっとも,競業者の取引先に対する上記告知行為が,特許権者の権利行使の一環としての外形を取りながらも,社会通念上必要と認められる範囲を超えた内容,態様となっている場合,すなわち,その実質が競業者の取引先に対する信用を毀損し,当該取引先との取引ないし市場での競争において優位に立つことを目的としてされたものであると認められる場合には,もはやこれを正当行為と認めることはできない。】との判断基準を示しました。そして、本件の事案においては、本件特許権の登録後、第1警告書を送付するまでの間、無効審判請求を提起されるなど本件特許権の新規性・進歩性が改めて問題とされるような事態が生じたことを認めるに足りる証拠はなく、また、第2警告書は別件侵害訴訟の答弁書において原告が本件特許権の無効主張を行った後に発送したものであるが、原告は、同答弁書において出願前公知の点は明確に主張していたが、進歩性違反の点については、「近日中に特許庁に対して無効審判申立てを行う予定である。」と述べるだけで、主張するのか否か自体が明確ではなかった点などが斟酌され、【被告らには,本件特許権が無効であることを知らなかったことにつき,慎重さを欠いた面があることが認められるが,本件特許権が無効であることを通常人であれば容易に知り得たにもかかわらず,あえて権利侵害の告知を行ったものとまで認めることはできない。】と判断して、原告の請求を棄却しました。

3.検討

(1) 特許権を侵害するものである旨の告知は「事実」の告知であるか、「意見ないし論評の表明」であるか
 不正競争防止法2条1項14号の事件では、被告側が、原告の取引先に送付した警告書は、被告の主観的な見解あるいは価値判断を述べた「意見ないし論評の表明」であるから、14号の「事実」に該当しないという主張を行う場合があります。学説においても、「事実」とは、例えば営業目的について虚偽の誹謗を告知する場合のように、人の内部的現象である動機・目的・企図などに関する誹謗もそれが立証され得る方法にて観察されるものである限り含まれるが、主観的見解や批評、抽象的推論のような価値判断については事実ではないとする見解があります *3 。 しかし、特許権者がライバル会社の取引先に送付した警告書の内容が、実質上、特許権を侵害している旨を告知していることが明らかと理解できるケースに限って言えば、判例は、本稿で取り上げた第1事件、第2事件もそうであるように、14号の「事実」に「意見ないし論評の表明」が含まれるか否かという議論のところで判断することはなく、端的に、被告が原告の取引先に送付した警告書を「事実」の告知と捉えており、学説もそれを支持しています *4 *5 *6 *7 。ただ、名誉毀損の事件においては、事実の摘示だけでなく、意見ないし論評の表明によるものも対象となり、それぞれについて判例理論が確立しているところ *8 、名誉毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求と不正競争防止法2条1項14号を理由とする請求が併せて請求されるケースも想定し得ると指摘した上で、14号の判例ではほぼ一貫して「事実」と捉えていることと名誉毀損の判例理論とのアンバランスの問題を指摘する見解もあります *9

 しかし、14号の判例ではほぼ一貫して「事実」と捉えている以上、実務上は、警告書の表現を、例えば第1事件の例のように「技術的範囲に入るものと思料されます。」「早急に貴社内で是正いただきたく,また今後かかることがないようご注意をしていただきますようお願い申し上げます。」と、多少柔らかい表現としてみたところで、実質上、特許権を侵害している旨を告知していることが明らかと判断されれば、後日、無効審決の確定などにより告知内容が虚偽となれば、14号の「虚偽の事実」の告知と認定されるものと理解し、そのリスクについて十分な検討を行うことが必要と言えます。

 なお、学説では、「虚偽」かどうかの判断が客観的に行えるのが「事実」であり、「意見ないし論評の表明」のような価値判断はそもそも「虚偽」か否かの判断すら行い難いものであることに鑑み、結局のところ、14号の「事実」という要件は、その言明が「虚偽」かどうかという問題に吸収されると考えてよいとする見解 *10 があります。なるほど、名誉毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求では、原告は請求原因として虚偽性を立証する必要はなく、逆に被告が抗弁(違法性阻却事由)として、公共の利害、公益目的、真実性などを立証するのに対し、不正競争防止法2条1項14号では「虚偽性」は原告が立証すべき要件事実であるので、上記の見解は、名誉毀損の判例理論との違いを理解ないし整理する上でも分かり易いと考えます。

(2) 「違法性阻却事由」と「過失」の有無はどのような基準で判断されるか
 上記のように「虚偽の事実」の点では争い難いとすると、取引先への警告後に当該特許権の無効審決等が確定した場合は、不正競争防止法2条1項14号に基づく損害賠償請求訴訟を提起されると、14号の該当性については、かなりの確率で請求が認容されるように思われます *11 。しかしながら、裁判所は、権利非侵害であれば当然に14号に該当するという図式は採らず、本稿で取り上げた第2事件がそうであるように、外形上、14号に該当すると判断される場合は、さらに進んで、違法性阻却事由の有無を判断し、違法性阻却事由があると認められれば、原告の請求を棄却する傾向にあります *12 。これは、不正競争防止法が、事業者間の公正な競争を確保するために不正競争の防止等に関する措置等を講じて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律であるため、形式的に不正競争行為に該当する行為であっても、実質的に事業者間の公正な競争を妨げる違法な行為とまではいえない場合には規制の対象とすることはできないので、知的財産権の正当な権利行使を萎縮させることがないようにとの配慮と、公正な競業秩序の維持という法目的を比較衡量して、違法性阻却事由の有無を判断して原告の請求の成否を決しようという考え方に基づくものと思われます。もっとも、この点について、学説では、過去の行為に対する責任が問われる損害賠償の場合は、「過失」が要件とされているのであるから、特許権者にとって警告の時点では有効・無効の判断が困難であったという事情がある場合には「過失」を否定すれば足りるのであって14号の該当性を絞る必要はなく、一方、現在又は将来の信用毀損行為が問題となっている差止請求の場合は、もし権利非侵害が確定しているのに虚偽の事実を告知又は流布する行為が継続されているのであれば、原告としては14号の該当性を絞ることなく差止請求を認めてもらう必要があるとし、損害賠償と差止めとで局面を分けて考察の上、何れにしても条文にない要件を付加してまで14号該当性を絞る必要はないという批判的な見解もあります *13

 上記のとおり、判例は、被告の過失責任を判断する前に「違法性阻却事由」の有無を判断する傾向にありますが、何れにしても、本稿で取り上げた2つの判例の結論が異なるものとなった点は、特許権者の立場から見た場合に実務上、後日、14号の請求を受けないようにするために注意すべき事項を示しているように思われます。すなわち、第1事件においては、特許を無効とする審決がなされた日よりも後に、問題とされた取引先への告知が送付されているという事実が、過失の認定に繋がり、損害賠償請求の一部認容という結論に決定的に影響しているのに対し、正当な権利行使の一環で違法性阻却事由があると判断されて請求棄却となった第2事件においては、そのような、警告時点で無効理由を知り得たという事情がありません。従って、すでに無効審決がなされている状況の下では、たとえ審決取消訴訟を提起していても、その特許を無効とした審決の判断が誤りであると考え得る合理的理由もしくは根拠として、よほど確かなものがない限り、取引先への警告は控えるべきと言えます。

(3) 特許権者に課される警告前の調査義務について
 本稿で取り上げた第2事件では、出願前の調査において弁理士が特許無効の原因となった引用発明を検出していなかったことや、本件各警告書の送付に先立ち、再度、本件特許権の有効性に関する調査・検討を全く行わなかったことなどについて、【被告らには,本件特許権が無効であることを知らなかったことにつき,慎重さを欠いた面があることが認められる】としつつ、【本件特許権が無効であることを通常人であれば容易に知り得たにもかかわらず,あえて権利侵害の告知を行ったものとまで認めることはできない。】として、際どい判断のように思いますが、警告前の調査を欠いていたからといって直ちに違法性があるという結論にはなりませんでした。

 この点について、特許庁において審査の上、拒絶の理由を発見できないとして特許査定を受けた権利について、何らの公知技術も判明していない状況の下で、これを再調査する義務を課するのは権利者に酷であるとする見解があります *14 。無審査の下で登録される実用新案については、法律上、権利行使にあたっての高度の注意義務が課されており、実用新案権の無効が確定した場合は、無効な権利を行使した権利者に対する過失の立証責任が転換されるという措置が講じられていますが(実用新案法29条の3)、審査官が審査をした上で権利が与えられる特許については、権利は有効なものという推定が働いているため、上記の見解が妥当であり、特許については過度の調査義務を課すべきではないと考えます。勿論、本稿で取り上げた第1事件のように、侵害警告時にすでに無効審決がなされているような場合や、無効審判の審判請求書が送達されていて特許権者が無効理由を具体的に知り得る状態になっていた場合は、違法性阻却事由があるとは認められないし、特許権者の過失が認定されると考えられます。また、例えば特許出願前にその出願発明に係る自社製品の販売等の公知行為を行っていたことが無効原因となって特許が無効となった場合などは、当然ながらその無効原因は特許権者自身が知っていたものと認定されるため、正当な権利行使とは到底認められないと考えられます。

4.最後に
 取引先への侵害警告は、侵害者への警告以上にその必要性を慎重に検討するべきですが、侵害者に警告しても売り切りを決め込んでいて侵害行為の停止に一向に応じない場合や、まれに製造業者が分からない場合など、これを行わざるを得ない場合もあります。不正競争防止法2条1項14号についての判例は比較的多く、また本稿で取り上げた以外にも多くの問題点がありますので、今後の判例の動向に注意したいと思います。

以上

(H19.1作成 : 弁理士 山本  進)


→【1】論説 :先使用権制度の意義と活用について
→【2】論説:テレビ番組の一括録画配信装置と著作権侵害
→【4】記事のコーナー :平成18年意匠法・商標法等の改正について
→【5】記事のコーナー :おせち料理について
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