■商標調査Q&A


  • Q,01
  • 商標調査は「類似群コード」の単位で行うこととされていますが、この「類似群コード」には、どのような意味があるのでしょうか。
  • A01
  • 商標法37条1項1号では、商標権侵害とみなす行為として、  1 指定商品又は役務についての登録商標に類似する商標の使用  2 指定商品又は役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標の使用  3 指定商品又は役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標に類似する商標   の使用 が挙げられており、商標権の禁止権の効力は登録商標の類似範囲に及ぶことが規定されています。  また、商標の登録要件を定めた商標法4条1項11号でも、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」は商標登録を受けられないことが規定されています。  このように、商標法では、権利行使や登録要件等の場面で、上記のように「類似」という言葉が出てきますが、これは下表に示すように、商標の類否と、商品・役務の類否のマトリックスで捉えることができる概念です。

    ここで、商標の類否は、個々のケースに応じて個別具体的な判断が求められるものですが、商品・役務の類否については、ある程度定型化することが可能である上、審査の便宜を図る必要もあることから、特許庁は、商品・役務の類否についての審査基準を「類似商品・役務審査基準」として公表しています。  ご質問の「類似群コード」は、上記「類似商品・役務審査基準」において、原則として互いに類似すると推定されている一群の商品・役務に対して付されているコードのことであり、特許庁における審査実務では、出願人が個別具体的に主張・立証しない限り、商品の類否は、類似群コードに従って画一的に判断されている実状があります。  このように、調査商標の登録可能性、使用の可否を判断する前提として、類似群コードの特定は極めて重要です。従って、「商標調査・出願依頼」では、ご入力頂いた情報のみでは商品・役務の内容が不明確で類似群コードを特定できないと判断されるときは、電話・メール等で詳細を別途確認させて頂くようにしています。  なお、別途記載の類似群コードの一覧に記載されていないような商品・役務につきましては、弊所の方でお調べ致しますので、商品・役務のみを具体的にご入力頂いて、類似群コードの部分は空欄のままで調査依頼を頂いても差し支えはありません。


  • Q,02
  • プログラムをCD−ROM等の記録媒体に記録して販売する場合、当該プログラムのネーミングは、商品商標としてでしょうか。それとも、プログラムが無体物であることに着目すると、役務商標になるのでしょうか。また、同じプログラムをインターネットにより有料でダウンロードさせる場合については、どうなるのでしょうか。
  • A,02
  • 商標法では、「商品」についての定義は設けられていませんが、無体であるサービスとの整理を明確にする観点から、「商取引の目的たりうべき物、特に動産をいう。」(特許庁編「工業所有権法逐条解説」)との解釈が通説とされています。従来は、この解釈に従い、電子出版物や電子計算機用プログラムは、CD−ROM等の媒体に記録された状態を捉えて有体物と解し、商品の要件を満たすと考えられていました。  しかし、経済社会のIT化に伴い、これまでCD−ROM等の有体物として市場で流通していたコンピュータプログラムが、インターネット上でダウンロードされて流通するようになってきています。このような状況を踏まえ、平成14年1月1日より施行されたニース協定に基づく国際分類第8版では、「ダウンロード可能なコンピュータプログラム」が、商品商標の区分である第9類の指定商品として追加されました。  また、平成14年法改正により、商標法2条3項2号の規定が改正され、商品に標章を付したものを電気通信回線を通じて提供する行為が商標の使用に該当することが明確になりました。なお、この場合において、「付する」とは、ダウンロードされるコンピュータプログラムの起動時や作業時のインターフェースに顧客が商標として視認できるよう、商標の電磁的な情報を組み込む行為をいいます。  従って、ご質問のケースについては、@コンピュータプログラムを記録したCD−ROM等の媒体に商標を付す場合や、Aホームページからのダウンロードにより提供するコンピュータプログラムの起動時のインタフェースに商標を電磁的に視認可能な形で組み込む場合等につきましては、第9類に区分される商品商標になると考えられます。  一方、B顧客の業務に適したプログラムを個別に設計・作成し、又は保守する会社が、開発したプログラムを顧客に納品する際に、当該プログラムを記憶させた媒体に自社の商標を付すような場合には、そのような記憶媒体には流通性もなく、また同質のものを多数供給するとも言えないため、「役務の提供に当りその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為(商標法2条3項3号)に該当し、そのように使用される商標は、役務商標であると考えられます。なお、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」は役務商標の区分である第42類に区分されています。